「毎回毎回、どんだけ好きなんだよ千夜の事。もう付き合っちゃえばいーじゃん。普段からずっと一緒にいんのに、なんでもしほーだいじゃん。なのになんなんだよ、わかんねー」
圭次はカップをテーブルに置くと、ソファーにうな垂れた。
「あいつはあいつで気づいてないんだか、誤魔化してんだか、こんだけ一緒にいんのに何も感情生まれないなんておかしーだろ。
この前の俺の沙良ちゃんをお前にって発言!
どうかしてるよな? ほんとに何も思ってないってことかよ? それはそれで楓には絶望的な感じだろ。びっくりしたわ」
圭次はすっかり飲み終えたカップを片手に、「おかわり!」と、楓の目の前に突き出した。
「酔ってんのか? ラテで」
楓は呆れながらもそれを受け取った。
「やけラテだぁ、やってらんねーだろ。だから俺は千夜が嫌いなんだよ。早く楓の気持ちに気づけっての!」
圭次はすっかりふくれっ面で携帯とにらめっこしている。
「はは、そーゆーとこが圭次の良いとこだよな。普段アホなのに」
「一言よけーだ」
「ありがとな、いつも励ましてくれてさ。帰ったら千夜にちゃんと話するから、とりあえず場所は言わないでおいて」
楓はそう言うと、「おかわり持ってくるな」と言ってカップを運んでいく。
「……あぁ、めんどくせぇやつらー」
圭次はまたソファーにうな垂れた後、起き上がって千夜にラインを送った。
その頃、千夜は楓の行きそうな場所を探しに外に出たものの、まったく見当が付かなくていつもの河川敷にいた。
川沿いの階段に座って、キラキラ光る水面と水の流れる音に完全に思考回路が停止してしまっていた。
朝から勉強して頭使いすぎたんだ。
楓といったら、ここくらいしか思い浮かばなかった。後はいつもうちにいるか学校にいるかだし、楓を探すなんて、今までなかったから、どうしたら良いのか全然分からない。
最終手段の圭次からは、
ー
知ってるけど、知らん!
ー
って、意味不明な返事が返ってくるし、もうやっぱり頼りにならなすぎる!
「……はぁ」
深い深いため息をついた。
膝を抱えて 目を閉じると、少し離れた辺りから、パシャンっと何かが水に落ちたような音がした。
ハッとして目を開けると、誰かがゆっくり川の中に入っていく。
「え! なに? あの人……なんで川に入ってんの」
あたしは立ち上がって辺りを見渡すが、生憎あたししか周りにはいないようで、恐る恐る近づいた。
その人が何かを掴んで階段に戻ってくる。
「あ、あのっ! 大丈夫ですか?!」
とっさに声をかけると、その人は少しびっくりした後に、ぎこちなく笑って、
「大丈夫、助けた」
そう言って両手で抱えた子猫をあたしに見せてきた。
圭次はカップをテーブルに置くと、ソファーにうな垂れた。
「あいつはあいつで気づいてないんだか、誤魔化してんだか、こんだけ一緒にいんのに何も感情生まれないなんておかしーだろ。
この前の俺の沙良ちゃんをお前にって発言!
どうかしてるよな? ほんとに何も思ってないってことかよ? それはそれで楓には絶望的な感じだろ。びっくりしたわ」
圭次はすっかり飲み終えたカップを片手に、「おかわり!」と、楓の目の前に突き出した。
「酔ってんのか? ラテで」
楓は呆れながらもそれを受け取った。
「やけラテだぁ、やってらんねーだろ。だから俺は千夜が嫌いなんだよ。早く楓の気持ちに気づけっての!」
圭次はすっかりふくれっ面で携帯とにらめっこしている。
「はは、そーゆーとこが圭次の良いとこだよな。普段アホなのに」
「一言よけーだ」
「ありがとな、いつも励ましてくれてさ。帰ったら千夜にちゃんと話するから、とりあえず場所は言わないでおいて」
楓はそう言うと、「おかわり持ってくるな」と言ってカップを運んでいく。
「……あぁ、めんどくせぇやつらー」
圭次はまたソファーにうな垂れた後、起き上がって千夜にラインを送った。
その頃、千夜は楓の行きそうな場所を探しに外に出たものの、まったく見当が付かなくていつもの河川敷にいた。
川沿いの階段に座って、キラキラ光る水面と水の流れる音に完全に思考回路が停止してしまっていた。
朝から勉強して頭使いすぎたんだ。
楓といったら、ここくらいしか思い浮かばなかった。後はいつもうちにいるか学校にいるかだし、楓を探すなんて、今までなかったから、どうしたら良いのか全然分からない。
最終手段の圭次からは、
ー
知ってるけど、知らん!
ー
って、意味不明な返事が返ってくるし、もうやっぱり頼りにならなすぎる!
「……はぁ」
深い深いため息をついた。
膝を抱えて 目を閉じると、少し離れた辺りから、パシャンっと何かが水に落ちたような音がした。
ハッとして目を開けると、誰かがゆっくり川の中に入っていく。
「え! なに? あの人……なんで川に入ってんの」
あたしは立ち上がって辺りを見渡すが、生憎あたししか周りにはいないようで、恐る恐る近づいた。
その人が何かを掴んで階段に戻ってくる。
「あ、あのっ! 大丈夫ですか?!」
とっさに声をかけると、その人は少しびっくりした後に、ぎこちなく笑って、
「大丈夫、助けた」
そう言って両手で抱えた子猫をあたしに見せてきた。


