「見返す……?」

「そ、このまま終わっちゃいやでしょ?」

「そ、それはそうだけけど……」


澄野くんが急に発した”見返す”という言葉が頭から離れない。


だって………、見返すってどういうことだろう。


澄野くんに何か策はあるの……?



「えーーっとね、橋谷ちゃんが可愛くなって、あの男が「なんで莉々と付き合わなかったんだろう!」って後悔すればいい、みたいな?」


「えっと………?」


なんかそれ、具体的な案とは言えないような…



というか、地味に名前で呼ばれた…、まあいいんだけど。



私が納得しなさそうな顔をしていたのか、澄野くんは「それじゃ…」と別のことを考えてるみたい。


まだ何か……?


じっと澄野くんの言葉を待つ。


「…俺と付き合っちゃう?」


真面目な顔で提案してきたと思ったら……


「なんでそうなるの??」


真顔でそう返す私に澄野くんは「あれダメだった?」純粋に首を傾げている。


問題大アリだよ……!


やっぱり彼はチャラすぎる……!!


私がそう思っていたら、澄野くんが軽く微笑んだ。


「あはは、ごめん冗談。でも俺、そうやっていつもみたいな橋谷ちゃんが好きだな」


「え……っ」


「ほら、今なんか悲しくなさそう」


そう思えば……


さっきより、悲しい気持ちは減った気がするような。


もしかして澄野くんは私を……



「あ、ありがとう…」


「あれ、なんかやけに素直じゃーん」


そうやってけろっとしている澄野くんに少しむかっときた。



前言撤回………!!


一言余計すぎるでしょ…!


私が怖い顔をしているのか、澄野くんは少しぎょっとした後、少しだけ深呼吸をした。