ここ最近、全然泣いていなかったから変な感じ。
失恋した。という事実が頭から焼きついて離れない。
…………彼女さん、可愛かったなぁ。
改めて、さっきの光景をもう一度思い浮かべる
流行りの巻き髪に、ナチュラルなメイク。
髪色は色素が薄めの茶色で、太陽に当たるとキラキラしていてとても綺麗。
あの子は、地味な私とは比較できないくらいに可愛い。
あの子だから聖もときめいちゃうんだろうなぁ……
後悔してももう遅いのに。
頭の中で後悔の言葉が次々と押し寄せる。
はぁ……泣き顔醜いし、こんな姿誰にも見せられな––––––
ガラッ
「あれー、橋谷ちゃんじゃん。どうしたの?」
突如開いた教室の扉、それと同時に入ってきた彼。
まって、なんで。
よりにもよって、どうして”彼”が……
キラキラの染めた髪、さっきまで重々しかった空気には似合わない軽そうな声。
なんで澄野(すみの)くんがここに………!?
急になんで……?とか、なんで帰ってないの?とかそんなんは置いておいて………
––––––終わった。
試合終了の鐘を鳴らされた気分。
「なん、で澄野くんが………っ」
「あー、ダメダメ。擦っちゃ」
そう言いながら澄野くんは私のほうへ近寄ってくる。


