「…ま、そのうちね。あ、橋本ちゃんの家ついた?」


「あ、うん。ありがとう」


けど、こんな挑発するみたいなことを言いながらもこうやっておくってくれたりするってことは、本当は優しい人なんだろうな。


お礼を言ってから澄野くんと分かれた。


鞄の中から家の鍵を探していると、そこには今きた道を澄野くんが引き返していた。


……え、なんで今来た道を…


『えっと…帰る方向とか…』

『ん?多分同じだと思うよ』


帰る直前にしていたら会話をふと思い出した。


もしかして、本当は別方向——


驚きが止まらなかった。なんでわざわざ別方向にいってまで、遠回りになってまで来てくれたの?とか色々な思いが出てきてしまう。


…謎すぎる。


あった時はとにかくチャラくて、「俺と付き合う?」みたいな冗談も何気に言ったりしてて。


たまに失礼なことを言うけど、こうしてある嘘をついてまで家まで送ってくれたり、根は優しいかもしれない。



……たまたまだ、そう思いたい。



とにかく違うことを考えたくて、家に入った。


…本当はいい人なのかもしれない…?