なんかすごい仲良さそうだな……


本音を話すと少し、いや結構嫉妬している。


「聖と一番仲がいいのは私なのに」とかキリがないことを次々と考えてしまっている。


–––––でもそんな思いは一瞬のうちに崩れ去った。



「俺、こいつと付き合うことになったんだ」


ピシ、と時間が止まった気がした。


少し固まっているうちに段々意識が戻ってくる。


い、今なんて……?


目の前で急に突き出された言葉に驚きのほかない。


「付き合う……?」

「そ、俺とゆいかが!」


どうやらその女の子はゆいかさんというらしい。



……ってそうじゃなくて。



「そうなんだ………」


多分私は人生の中で一番ひどい顔をしていると思う。


だってそれくらい衝撃を受けたから。


え、もう本音をいうと泣きたい。


こんな聖たちの前では平気で応援してるように見えてるかもしれないけど、もうここから逃げてしまいたい。



「あ、ごめん。私今日早めに帰ってこいって言われてるんだった!」

「そっか、じゃあな莉々!」



「あ、うんじゃあ…………」


それだけ言って、衝撃を受けている私なんていなくなったように校門を出ていく二人。


別れ際自分がなんて言ったかもわからない。


それより。



…………聖に彼女ができたなんて。



頭の中ではもうそのことしか浮かばなくなっていった。