「そ、そういえば!澄野くん、スポーツ苦手なの?」
こうなったら話題を変えてやる。
そう思って体育の時間、澄野くんが休んでいた理由を聞いてみた。
気になっていたのは本当だったしね。
「…べ、つに苦手なわけじゃないけど」
「そうなの?」
苦手なわけないじゃん!とか、そんな感じで言ってくるのかと思ったら、澄野くんは目をそらしながら言った。
…なんか都合悪いのかな…
「じゃあ怪我とかしてたの?」
「……うん!そう!実は少し前から風邪気味で…」
食い気味で答える澄野くんだが、なんとも嘘っぽい。
目泳がせてるし…
気になったけれど、他人のプライベートに肩を突っ込みすぎるのはよくないな、と思ってその場の会話はそこで終了となった。
***
「聖くんのこともあったけど、莉々にももうすぐ春が来るかもしれないわね…」
「え?なにか言った?」
美鈴がなにかぼそぼそと呟いていたそうだけれど、声が小さすぎて聞き取れなかった。
当の本人は「なんでもないわ…」って誤魔化しているし。
このことを追求しても仕方ないっぽいし、次の授業が始まる時間なので教室に戻ることにした。
……さっきのことは考えないように!