…はぁ、さっきは疲れた…


秋だけど、勢いよく走りすぎて少し汗ばんだ額をハンカチで拭う。


斜め前の席にいる美鈴も、ポーカーフェイスを貫き通してはいるけど、呼吸が頭より早そうだし、なにより汗が少し出ている。


…まぁ、結局間に合ったからよかったけど。


先生が黒板に書いた文字をノートに写していく。


あれから私たちは必死に走って、なんとチャイムがなる5秒前に教室に入ることができた。


谷野先生には「走るな」って怒られちゃったけど。


まあ、結局間に合ったんだから怒られるよりかはいいってことにしておきましょう…!


そんなことを考えていたら、少しだけ開いていた窓からなにやら騒ぐ男子たちの声が聞こえた。



「おい!決めろー!!」

「そっち行ったぞ!」

「ゴールキーパー止めろーーー!!」



ふと外を見てみると、学校のグラウンドでサッカーをする男子たち。


私たちと同じ2年生かな…?


私たちの学校は学年によって体操服の色が異なっている。


ちなみに2年生は緑。


もしかして……いるかな。


さっきまで見ていた明るい髪色をした男子を探すが、サッカーはしていないみたい。



……って、なんで私があいつなんか探してるの…!