「明、学校着いたと思ったらすぐどっかいっちゃうんだもん!心配したよ〜!!」
甘い声で澄野くんの方に近寄る一人の女の子。
わわわわ、手が……
てか近っ……、あれで付き合ってないんだ……
その女の子は澄野くんの手をギュッと握って可愛く上目遣いで見ている。
キュルンとした瞳と、自分の武器がわかっているような表情。
わあ……可愛い。女子の私でも思っちゃう……
これには、あのチャラ男の澄野くんもデレデレ…………と思いきや。
「うん、ごめんね。でも俺は今橋本ちゃんと話してるから」
「えっ……」
その言葉と同時に女の子の手をぱっと、何もなかったように振り払う澄野くん。
あ、あんな可愛い女の子の手を振り払うなんて……
女の子も唖然としてるし……
「あ、そ、そっか!じゃあまた後でね」
女の子たちは焦ったように教室を出て行く……瞬間。
「………」
さっき手を振り払われた子に、さっきの可愛い顔とは比べられないくらいの鋭い顔で睨まれた。
な、何………今の。
顔が怖すぎて、思わず悪寒がはしってしまった。
これは…………私、まずいのでは。


