「俺が一方的に橋本ちゃんと仲良くしたいって思ったんだけど……、だめ?」


そういって、捨てられた子犬のような目をする澄野くん。


う……っ、ず、ずるい……


こいつ……、自分の顔面の良さを全て理解してる…っ。


「だめ、じゃなけど……」


「ほんと?ありがとう!」


結局負けてしまった。


これは私が澄野くんに来て欲しいとかじゃなくて、この子犬みたいな目にやられただけ……!


というか、こんなんで折れる私もちょろくない…?



そんなことを考えていると、後ろの教室の扉から親友の春宮美鈴(はるみやみすず)が「おはよー!」と元気な挨拶をしながら入ってきた。


「お、おはよ。美鈴……」


「元気ないね……って、すすすす澄野っ!?」


「おはよー、春宮さん」


美鈴が見たことないくらい驚いてる……


澄野くんはいつも通り軽く挨拶したけれど、美鈴の方は驚きまくって教室の端の方まで後ずさっていった。



「そんな驚くことかな」

「いいいいや、まさか莉々があの澄野と話してるとか……っ」



汗でダラダラになりながら言う美鈴。


あ、これもしかすると美鈴にとんでもない誤解招いてるかもしれない。