色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅲ

 バニラが淹れてくれた紅茶には手をつけず。湯気の立つティーカップを延々と眺める太陽様。
 もしかして、紅茶は嫌いだったのかな?
 何か言いたげな表情をしているので、そのうち話してくれるだろうと黙って紅茶を飲む。
 見たところ、大きな怪我はしていないようで安心した。
 純粋にまっすぐな目は、私を見ようとはしなかった。
 ああ、ここに来て。
 太陽様からも酷いことを言われるのかなあ…と感じた。
「あの…、太陽様?」
 5分以上黙られると、流石にこっちから口を開くしかない。
 力強い目で太陽様は私を見ると、勢いよく立ち上がって。
 椅子を押しのけて、その場で土下座をした。
「いや、何しているんですか?」
 悲鳴交じりに叫ぶ。

「本当に、すんません」

 ごつんっと音をたてて太陽様が頭を下げた。

「いや、頭をあげてください」
 と、言って。
 これって、もしかして。
 アレ…かと声が出なくなった。
 ついに、言われてしまう。
 …離婚。