色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅲ

 戦争が終わったとはいえ、太陽様が私に会いに来ることはないのだと思っていた。
 一人の騎士団の男が私を探しているという噂を聞いたときには、まさかと思った。
 バニラはお玉としゃもじを両手に持って、
「様子を見てきますわ」
 と言ったから、「いや、やめなさいよ」と止めた。

 バニラは走って家を出て行ったかと思えば、5分も経たないうちに一人の男を連れてきた。
「まさかの太陽様でしたわ」
 本人がいるにも関わらず棘のある言い方をしたバニラ。
 3ヵ月ぶりの太陽様は以前よりも痩せたように見えた。
「どうされたのですか?」
 私も後になって考えれば、随分と失礼なことを口にしてしまったのだと思う。
 目の下に(クマ)を浮かべた太陽様は直立不動で言った。

「会えてよかった」