夕食時、サンゴさんは胸の内を打ち明けてくれた。
「右腕を失くしてから、人前に出るのが怖かったんだ」
お腹がすいているのか、サンゴさんの隣でカイくんがガツガツとシチューを食べている。
「同情されることや、カワイソウって思われることが何よりも嫌だった。今だから言うけど、初めてカイと会った時。カイは俺見て号泣したからな」
サンゴさんがカイくんの頭をぽんぽんっと撫でる。
カイくんはバツが悪そうに唇を尖らせる。
「どのような心境の変化で手伝ってくれたのしょうか?」
バニラがカイくんのお皿におかわりをよそいながら言う。
「何だろうな? 姫君が頑張ってんの見たせいかな。それに、こいつが雇用主に文句言いに行ったというのがデカいのかもな」
カイくんは恥ずかしいのかうつむいたままだ。
「姫君が思っている以上に、ここにいる人間は救われたのかもしれないな」
サンゴさんの言葉に、私は全力で首を横に振った。
「そんなこと、ありません」
「そんなことあるから、言っているだけだ」
サンゴさんはシチューをたいらげると「おかわり」とバニラに言った。
「そういえば、今日。ナズナ様がサンゴ様のことを英雄っておっしゃってましたね。サンゴ様は伝説でも持っていらっしゃるのですか?」
言葉に詰まっている私を見て、すぐにバニラが話題を変える。
カイくんはスプーンを置くと、スケッチブックに「国民みんなが知ってる伝説」と書いた。
「まあ、そんなに有名な伝説でしたの!?」
バニラがお得意のオーバーリアクションをすると。
カイくんは嬉しそうに笑ってペンを走らせる。
「サンゴは、ドラゴンをたおした」
カイくんの書いた文字に「あん?」と凝視してしまう。
「しかも15さいのとき」
カイくんは書き終えると、にやにやながらサンゴさんを見る。
「ドラゴンって・・・え、魔法使えるってことですか?」
ドラゴンって実在するのか?
もしかして、私の思い描いているドラゴンとは違うものなのか。
じわじわと混乱していると、サンゴさんは私を見て、
「魔法なんて使えるわけねえだろうが。他国じゃ魔法使って空想上の生物どんどん生みだして、国を襲わせて。人同士で戦うことのほうが少なくなってる」
ぶつぶつとサンゴさんが文句言い出したが、口を開けたまま私は固まってしまう。
この国は延々と戦争が続いているというけど、一体。
何と戦っているのか?
平和ボケしてしまっている私には、わからぬことばかり。
「右腕を失くしてから、人前に出るのが怖かったんだ」
お腹がすいているのか、サンゴさんの隣でカイくんがガツガツとシチューを食べている。
「同情されることや、カワイソウって思われることが何よりも嫌だった。今だから言うけど、初めてカイと会った時。カイは俺見て号泣したからな」
サンゴさんがカイくんの頭をぽんぽんっと撫でる。
カイくんはバツが悪そうに唇を尖らせる。
「どのような心境の変化で手伝ってくれたのしょうか?」
バニラがカイくんのお皿におかわりをよそいながら言う。
「何だろうな? 姫君が頑張ってんの見たせいかな。それに、こいつが雇用主に文句言いに行ったというのがデカいのかもな」
カイくんは恥ずかしいのかうつむいたままだ。
「姫君が思っている以上に、ここにいる人間は救われたのかもしれないな」
サンゴさんの言葉に、私は全力で首を横に振った。
「そんなこと、ありません」
「そんなことあるから、言っているだけだ」
サンゴさんはシチューをたいらげると「おかわり」とバニラに言った。
「そういえば、今日。ナズナ様がサンゴ様のことを英雄っておっしゃってましたね。サンゴ様は伝説でも持っていらっしゃるのですか?」
言葉に詰まっている私を見て、すぐにバニラが話題を変える。
カイくんはスプーンを置くと、スケッチブックに「国民みんなが知ってる伝説」と書いた。
「まあ、そんなに有名な伝説でしたの!?」
バニラがお得意のオーバーリアクションをすると。
カイくんは嬉しそうに笑ってペンを走らせる。
「サンゴは、ドラゴンをたおした」
カイくんの書いた文字に「あん?」と凝視してしまう。
「しかも15さいのとき」
カイくんは書き終えると、にやにやながらサンゴさんを見る。
「ドラゴンって・・・え、魔法使えるってことですか?」
ドラゴンって実在するのか?
もしかして、私の思い描いているドラゴンとは違うものなのか。
じわじわと混乱していると、サンゴさんは私を見て、
「魔法なんて使えるわけねえだろうが。他国じゃ魔法使って空想上の生物どんどん生みだして、国を襲わせて。人同士で戦うことのほうが少なくなってる」
ぶつぶつとサンゴさんが文句言い出したが、口を開けたまま私は固まってしまう。
この国は延々と戦争が続いているというけど、一体。
何と戦っているのか?
平和ボケしてしまっている私には、わからぬことばかり。



