今、陛下って言いました?

 自分の耳を疑いながらも、太陽様に助けを求める。
 太陽様は私の顔を見るなり「えっ」と絶叫する。
「なんで、あなたがこんなところに?」
 鎧の男を無視して、すたすたと太陽様は私の前にやって来る。
「あの…お手紙を出したんですけど」
「手紙?」
 太陽様が眉間に皺を寄せる。
「私、王家専属のピアニストになって。それで…引っ越したとお手紙でお伝えしたはずなんですけど」
「…え、知らないけど」
 グサッと太陽様の言葉が胸に刺さる。
 ああ、これ完全に不法侵入になっちゃわない?
 違うんです、私はちゃんと招かれてここにいるんです…

 鎧の男は「ふうん」と言って、
「太陽、この方を家まで送ってあげなさい」
 と言って出て行ってしまった。
 残された私と太陽様は黙ってお互いを見た。