出棺の際は、流石に一族もしんみりしてはいたが、高齢の者が多いせいもあり、こんな暑い日に焼き場で延々と待機させられ、かなり疲れも出ていた。

疲れ果てていたのに、更にそこからまた、マイクロバスに延々と揺られて戻らなければいけない。

一族は、もはや全員ぐったりである。

(ホントに、参列者のことは完全無視の、叔父の自己満足な葬儀だな…。優しかった叔母さんが、果たしてこんなこと望んだだろうか?自分の年老いた姉や兄たちに、こんなしんどい思いをさせたかった筈がないわ)

加奈子は密かに思っていた。

そして、親族の会食で、やっとこの葬儀は終わる。

律子と加奈子は、両親の向かいに座っていて、喪主の勝彦は、お酌をして回っていた。

中山一家は、勝彦はこちらにもお酌をするだろうと思っていたが、勝彦は明らかにわざと、中山一家を飛ばして、その横の岩田と公子にお酌をしたので、中山一家はポカンとしている。