助けてと言えなくて



「めっちゃ怪我してるじゃん。大丈夫?」

私の足を見て慌てたように立ち上がって

下から覗き込んでくる。

その表情が弟みたいに可愛くて胸が温かくなった。

「わりと痛みは落ち着いてきたから大丈夫だよ」

「そっか。…とりあえず外に足洗えるところ
 あるから砂落としてきたら?」

「うん。わかった」7



……よし、これでいい感じかな。

手にも足にも石の痕がついていた。

石残らなくてよかった…

残ってたら取り除かなきゃダメだし。

……想像しただけで怖いな。

「洗えた?」

「あ、うん。洗えたよ」

ドアからちょこんと覗いて見てくる。

昔から天然なあざとさあるんだよなぁ…

「吉田先生、他の先生に呼ばれて職員室に
 行ったからもうすぐ帰ってくると思うよ」