逃げる所がないか、走る音を静かにして教室に入る。次は図書室だ。

「借りっぱなしの本があるんだった」

みなみはカードを取り出して自分の名前を探す。

「それより厚めの本を探そうよ」

人体模型撃退のために星輝が重そうな辞典や伝記を持ってきた。みなみが何となく心を落ち着かせて星輝に話しかける。

「あのね、理科室の時も家庭室の時も助けてくれて有難う。カッコ良かったよ」

照れながら言うみなみに、星輝も照れる。

「ありがとう、そうかな。俺はやれるだけのことをやっただけだから。人体模型を撃退するのに夢中になってた」

伝記をパタンとしめて、重さを確認した。

「伝記以外に何かないかな」

探したけど、薄い本ばかりで何もない。絵本や雑誌流行の本ばかりが並んでいる。

「ところで、聞くんだけど借りっぱなしの本って一体何?」

「ゼクシィ」

「はあ?!」