俺のクラスに結衣と神崎が転入してくる。そんな話で頭の中はいっぱいだ。本当に愛していた結衣。そんな結衣が神崎と付き合うとは思いもしなかった。でもこれは何かのチャンス。またやり直させてくれるかもしれない、そんな妄想で俺の期待は膨らんでいった。
 「結婚科から転入してきました、神崎真央と渡瀬結衣です。普通科でも俺たちはカップルで居続けるのでよろしく」
 神崎と結衣はなぜ転入してきたのかわからない。でも2人はまだラブラブなカップルで愛し続けてるということは身に染みて分かった。俺はなんのために七海学園に入学したのか、結衣はこんなに充実してるのに。よくわからない感情が入り混じって、授業に集中できなかった。
「ねぇ、知ってる?」
 普通科でできた親友、セイが話しかけてきた。
「七海学園が投稿してるユンスタには神崎がやらかして転入したことになっているんだけど、俺の友達の鮫上が言ってたけど本当は結城さんの方がやらかしたんだって。」
 鮫上は、結婚科の中でも有名なカップルで普通科のカップルから評判が高い。そんな鮫上が言うんだから間違いないだろう。でも信じられなかった。

その日の夜、結衣と電話した。
「久しぶりー!元気そうだね!」
結衣がやらかしたって言うのにとっても元気じゃん。
「セイくんから聞いたよ?私がやらかしたって話。あれは、噂。気にしないで!」
「そんなことより、俺と電話して良いのかよ。浮気扱いされないのかよ」
自己紹介からしてラブラブな2人に叶うハズがない。結衣に恋したままでも良いことなんて一つもないのに。
「何言ってるの、私たち付き合ってるじゃない」
「は?」
そんな話一つも聞いたことがない。
「だって、私たち別れようなんて一言も言ってないじゃない。ていうか、それで私たち転入して来たんだから。」
あ、そっか。俺たちは別れようとは言ってない。絶対に幸せにするから、待ってろ。と言った記憶がある。俺にしてはだいぶキザな事言ったからか、顔がだんだん赤らんでくるのがわかる。
「でも、神崎は?絶対許してくれなさそうだよね。結衣の事庇ってくれたくらいだから。」