ちょっと雅俊!どこをほっつき歩いてたのよ?この大事な日に! 


165センチはあるだろう身長に、腰まで届く長い黒髪を惜しげもなく背中に垂らして二重で大きな黒い瞳とシュッと整った鼻筋に、愛らしい桜色に染まっている唇を俺に向かって尖らせているこの女の名前は蓮歌。陽桜組の組長の一人娘で、俺の恋人。
幼馴染だった。ずっとそばにいて見守ってきた。そんな女が今日俺の婚約者になろうとしている。

ねえ、聞いてるの。雅俊、またおじさんに怒られるよ?
わかってるよ。ちゃんと聞いて立って俺のお姫さま。
そういうと蓮歌は、さつきまて怒ってたことが嘘のように女神が微笑んでいるかのごとく微笑した。


もう仕方ないんだから。雅功は!まあそれも雅俊のいいところなんだけとね。

と最後のセリフは声を落として言ったが俺にははつきりと聞こえていた。
それに気づいた蓮歌は、照れ隠しのかわりに雅俊の意地悪と叫ぶと俺をおいて広間に戻っていった。