(もしかして、ブラントさまもこんな気持だったのかしら?)


 自分のしたことで相手が喜んでくれた時、笑ってくれた時。
 相手と同じかそれ以上に嬉しいと感じることを、ラルカは思い知った。

 こんな風に喜んでくれるなら、もっともっと、何か自分にできることをしてあげたい。
 そう強く思ってしまう。


「ブラントさまに喜んでいただけて、本当に良かったです……!」


 底しれぬ達成感と喜びに胸が大きく打ち震え、ラルカは思わず破顔する。


「ありがとう、ラルカ。大切にします。本当に、ありがとう」


 飾り気のない言葉だが、その分だけシンプルに彼の感謝の気持が伝わってくる。
 ラルカは力強く頷くと、未だ濡れたままのブラントの頬を、自分のハンカチでそっと拭ってやるのだった。