「それは良かった。折角のお休みを僕の願い事で潰してしまいましたから。ラルカに不自由な思いを――――負担をかけていないか心配していたので」
「そんなこと、思うはずがございませんわ!」
「……良かった」
そう言ってブラントは、ラルカの手をギュッと握る。
ラルカの心臓がトクンと跳ねた。
「あ、あの……ブラントさま?」
出会ってからこれまで、一般的なエスコート――腕を添えて歩くことしかなかったものだから、唐突に手を繋がれて、ラルカは戸惑ってしまう。
「街ではこちらの方が歩きやすい――――と、思いませんか?」
そんな風に口にしつつ、ブラントは若干バツの悪い表情を浮かべる。
浮かないよう、はぐれないよう――――そんな表向きの理由が占めるのは一割程度。本当はブラントは、ラルカと手を繋ぎたいだけなのだから。
「そ、そうですわね」
ドキドキと胸を高鳴らせつつ、ラルカが答える。
(きっと、これが普通なのですわよね?)
仕事以外で、男性と出かけるのは初めてのこと。プライベートで出かける際にどうすれば良いのかなど、分かりはしない。
おまけに、二人は一応婚約者同士なのだし、このぐらいの距離感で居るのが正解なのだろう。ラルカはそう自分に言い聞かせつつ、必死に平静を装う。
「そんなこと、思うはずがございませんわ!」
「……良かった」
そう言ってブラントは、ラルカの手をギュッと握る。
ラルカの心臓がトクンと跳ねた。
「あ、あの……ブラントさま?」
出会ってからこれまで、一般的なエスコート――腕を添えて歩くことしかなかったものだから、唐突に手を繋がれて、ラルカは戸惑ってしまう。
「街ではこちらの方が歩きやすい――――と、思いませんか?」
そんな風に口にしつつ、ブラントは若干バツの悪い表情を浮かべる。
浮かないよう、はぐれないよう――――そんな表向きの理由が占めるのは一割程度。本当はブラントは、ラルカと手を繋ぎたいだけなのだから。
「そ、そうですわね」
ドキドキと胸を高鳴らせつつ、ラルカが答える。
(きっと、これが普通なのですわよね?)
仕事以外で、男性と出かけるのは初めてのこと。プライベートで出かける際にどうすれば良いのかなど、分かりはしない。
おまけに、二人は一応婚約者同士なのだし、このぐらいの距離感で居るのが正解なのだろう。ラルカはそう自分に言い聞かせつつ、必死に平静を装う。



