「だったらこうしましょう。表向きは私の侍女として、中身はこれまで通りの仕事をしなさい。制服の件は諦めてもらうし、公務に随行してもらうのときの立ち位置もこれまでとは変わってしまうけれど、実情は私たちにしかわからないもの」


 不敵な笑みを浮かべつつ、エルミラは言う。ラルカは思わず目を見開いた。


「よろしいのですか?」

「もちろん。要は名前の問題でしょう? 侍女が予算やスケジュール管理をしようが、公務の調整をしようが、私の勝手よ。社交関係や来客の取次、お茶の準備や話し相手を務めるだけが侍女の仕事じゃないと思うし。誰が、どういう仕事に向いているのか、どういう仕事をしたいかによって采配したって良いじゃない?」


 エルミラの表情は自信に満ち溢れている。この場にいる他の面々――――文官や侍女たちも、エルミラに同調するように頷いた。
 仮にメイシュから照会が来ても、彼等はラルカの仕事内容について、上手に口裏を合わせてくれるだろう。


「ありがとうございます……!」


 ラルカは深々と頭を下げつつ、目頭が熱くなるのを感じていた。