その晩、ラルカは自室で悶々としながら、ブラントへの贈り物を考え続けた。

 彼のシルバーブロンドに映えそうな色合いのジャケットに、夜空色の瞳に合わせたシルクのスカーフ。大きなサファイアのブローチに、銀細工の美しい懐中時計。愛用の香水を贈るという手もあるかもしれない。

 どれも喜んでもらえそうではあるが、コレという決め手に欠けている気がする。
 全て贈るという手もあるが、それではあまりにも芸がない。


 第一、彼が望んでいるのは本当に『モノ』なのだろうか?
 自問自答を繰り返しながら、ラルカは何度も首を捻る。


(わたくしは何より、ブラントさまの気持ちが嬉しかった……)


 ラルカを連れ出してくれたことが。
 彼女の好みを考え、部屋やドレスを準備してくれたことが。

 ラルカの気持ちに寄り添い、温かい言葉をかけてくれたことが。包み込んでくれたことが。

 必要なのはお金をかけることではない。
 そんなことを考えながら、ラルカはウトウトと眠りにつく。