「そうねぇ……ブラントだったら、ラルカがくれるものは何でも喜びそうだけど」

「そうでしょうか?」


 これ程までに良くしてもらったというのに、下手なものを渡して幻滅させたくはない。不安のあまり、ラルカは表情を曇らせる。


「不安なら、屋敷の使用人たちにリサーチするのも良いんじゃない? 一番近くで、ブラントのことを見ているのは彼らだもの。だけど、返ってくるのは私と同じ答えだと思うわ。賭けても良いわよ」

「そんな……それじゃ余計に困ってしまいます!」


 何でも良いと言われると、範囲が広すぎて途方に暮れる。せめて分野だけでも絞ってほしいとラルカは思っていたのだが。


「だったら、直接本人に尋ねてみなさい? 彼が欲しがるのは『もの』じゃないと思うわ。きっと、貴女にしかできないことだと思うから」


 言いながら、エルミラは意地悪く瞳を細める。
 こういう時、彼女には既に答えがわかっているのだろう――――そう思いつつ、ラルカは苦笑を漏らす。


「承知しました。ご助言、ありがとうございます」

「ええ、ええ! いつでも、私に頼ってくれて良いのよ?」


 そう言ってエルミラは、満足そうに笑った。