(よしっ!)


 準備万端、気合も十分にラルカが部屋を出ると、丁度支度を終えたらしいブラントと鉢合わせた。


「おはよう、ラルカ」

「おはようございます、ブラントさま」


 騎士装束に身を包み、ブラントは穏やかに微笑む。
 美しく整ったその顔は、朝から直視するには眩しすぎる。ラルカは目を細めつつ、深々とお辞儀をした。


「昨日はよく眠れましたか?」

「ええ! あんなに眠れたのは久しぶりです。頭がとてもスッキリしました」


 ウキウキと声を弾ませつつ、ラルカが笑う。
 頭だけでなく、身体までもが軽くなった気分だ。睡眠、環境の違いというものは、こうも影響が大きいのだとラルカは思い知る。


「それは良かった」


 ブラントはそう言って、嬉しそうに微笑んだ。


「折角なので、下までエスコートさせていただけますか?」

「ええ、喜んで!」
 

 スマートに差し出された腕を、ラルカがとる。