***
屋敷に着くと、ブラントは侍女たちに命じ、温かいお茶とブランケットを準備した。ラルカはソファに腰掛け、虚ろな表情のまま震えている。
それでも、城にいる時よりは顔色が良くなっているため、ブラントはホッと胸をなでおろした。
「――――わたくし、姉さまが領地に帰ったら、寮に戻るつもりだったんです」
独り言を言うかのごとく、ラルカがポツリと呟く。ブラントはラルカの背を撫で擦りながら、静かに相槌を打った。
「だけど、姉さまが許してくれなくて……。結局わたくしは、屋敷の中で、姉さまの監視を受けながら生活をすることを余儀なくされているんです。
姉さまはもう居ないのに。遠く離れた場所に居るのに。見えない分寧ろ怖くて、恐ろしくて……」
ラルカの瞳に涙がたまる。
「わたくしは、ちっとも自由になれない――――いいえ、そんなもの、元より求めちゃいけなかったんです。
姉さまの望む通りの生活を送らなければ、生きている意味も価値もない。
エルミラさまにも、迷惑をかけてばかりで申し訳なくて。
もう、何も考えたくない。考えたところで意味がないって、そんな風に思えてきて――――」
屋敷に着くと、ブラントは侍女たちに命じ、温かいお茶とブランケットを準備した。ラルカはソファに腰掛け、虚ろな表情のまま震えている。
それでも、城にいる時よりは顔色が良くなっているため、ブラントはホッと胸をなでおろした。
「――――わたくし、姉さまが領地に帰ったら、寮に戻るつもりだったんです」
独り言を言うかのごとく、ラルカがポツリと呟く。ブラントはラルカの背を撫で擦りながら、静かに相槌を打った。
「だけど、姉さまが許してくれなくて……。結局わたくしは、屋敷の中で、姉さまの監視を受けながら生活をすることを余儀なくされているんです。
姉さまはもう居ないのに。遠く離れた場所に居るのに。見えない分寧ろ怖くて、恐ろしくて……」
ラルカの瞳に涙がたまる。
「わたくしは、ちっとも自由になれない――――いいえ、そんなもの、元より求めちゃいけなかったんです。
姉さまの望む通りの生活を送らなければ、生きている意味も価値もない。
エルミラさまにも、迷惑をかけてばかりで申し訳なくて。
もう、何も考えたくない。考えたところで意味がないって、そんな風に思えてきて――――」



