「ああ、素敵! こんなに素敵な人とラルカが結ばれるなんて、本当に嬉しいわ!」


 どうやら、二人の結婚を本気で認めてくれたらしい。ラルカはホッと胸をなでおろした。


「お姉さまに認めていただけて、本当に良かった。これからも、ご期待に添えるよう、僕がラルカをしっかりと守ります。必ず幸せにします」


 そう言ってブラントは、ラルカをそっと抱き寄せる。ラルカの心臓がドキッと小さく跳ねた。

 王都に出て以降、仕事一辺倒。男性との接触は殆どなかった。
 もちろん、エルミラの近衛騎士たちと毎日顔を合わせていたし、男性が苦手というわけではない。
 けれど、甘い言葉を囁かれることも、こういったふれあいも殆ど皆無で。


(いちいちドキドキしてはダメ。ブラントさまは、姉さまを騙すために頑張ってくださっているのだもの)


 慣れなければ――――そう思いつつ、ラルカの体温は上がるばかり。ブラントの大きな手のひらに、たくましい腕に、ついつい意識が向かってしまう。


「そう言っていただけて、安心しました。ラルカのことは、貴方にお任せしますわ」


 メイシュが嬉しそうに微笑む。
 ラルカはブラントと顔を見合わせ、密かにガッツポーズを浮かべるのだった。