「あなたがブラントさまなのですね」


 ラルカの父親の声が聞こえる。ブラントはドキドキしつつもゆっくりと顔を上げた。


「娘たちから話は聞いています。本当にラルカが世話になりました」


 とても穏やかな微笑み。そこにラルカの面影を見つけて、ブラントは思わず泣きそうになる。


「そんな……お世話になっているのはこちらのほうです。僕がここまで来れたのも、毎日を幸せを過ごせているのも、すべてはラルカのおかげですから。こうしてラルカに出会わせていただけたこと、本当に嬉しく思っています。ありがとうございます、お義父さま」


 思わず本音を吐露するブラントに、今度はラルカの頬が染まっていく。ラルカの父親は嬉しそうに目を細め「ありがとう」と返事をした。


「さあ、こちらへ。メイシュがお待ちかねだ」


 メイシュの夫に促され、二人はメイシュの元へと向かった。