「僕は活き活きと仕事をしているラルカが好きです。自由に生きたいと願う貴女が好きです。
僕は絶対に貴女を手放したくない――――いいえ、絶対に手放しません。
一生、ラルカの側にいたい。
ですから、もしも将来、貴女が結婚をしたいと思ったその時は――――どうか、僕を選んでいただけませんか?」


 それは、二人が仮初の婚約を結ぶことになったあの時、ブラントが真に伝えたかったであろう求婚の言葉だ。
 ラルカは涙を流しながら、ブラントの手をギュッと握った。


「わたくしも――――ブラントさまが好きです。大好きです!
結婚をするなら、絶対に貴方とが良い――――いいえ、ブラントさまじゃなければ嫌です。
ですから、どうか、わたくしを待っていていただけませんか?」


 ブラントが力強く頷く。
 ラルカは微笑みながら、ブラントの胸へと飛び込んだ。


 夜空に星が瞬き、月が優しく二人を照らす。

 恋人として――――本当の婚約者として歩みだした二人は、どちらともなく唇を重ると、満面の笑みを浮かべるのだった。