「改めまして、本日はご来場いただき、本当にありがとうございました」


 エルミラとアミルが来場者へ感謝の言葉を述べる。

 イベントを飾るフィナーレにはエルミラやアミル、ラルカたちに加え、子供たちが登壇した。
 湧き上がる喝采。
 ドレスアップをし、誇らしげに微笑む子供たちの姿に、集まった人々が瞳を細める。

 彼らが向けるのは決して同情の眼差しではない。子供たちの幸せを心から祈るものだ。
 人々の優しい気持ちはきっと、子供たちにも伝わるだろう。ラルカは胸が温かくなった。


 次いで、エルミラの口から今日の来場者数と収益が発表された。想像以上に沢山の人がイベントを楽しんでくれたらしい。ラルカは思わず口の端を綻ばせる。


 少し前のラルカならば、こんな企画は立案できなかった。
 彼女にとって着飾ることは苦痛でしかない。メイシュの顔がチラついて、全く楽しむことができなかったし、楽しいと思う人がいることだって想像できなかった。


 けれど、ブラントと出会い、ラルカは着飾ることの楽しさを知った。
 自分らしく生きることの意味を実感した。

 メイシュとの関係を乗り越えたから――――だからこそ、より達成感を感じるのだろう。
 何だかとても誇らしい気分だった。