ラルカは人形のように美しく、どこかおっとりとして見えるが、案外芯の強い女性で、エルミラの無茶振りにもふわふわと微笑みながら、きっちりと堅実に仕事をこなしている。

 元々は行儀見習いも兼ね、エルミラの侍女として城に上がったのだが、彼女の強い希望を受け、文官として抜擢された。

 その理由が『侍女用のドレスではなく文官の制服を着てみたい』というものだったから、エルミラはとても驚いた。文官用の制服は、無機質で飾り気がなく、大抵の女性は好まない。姫君を引き立てる『華』である侍女のものとは、根本的に異なっているのだ。

 見た目の麗しい侍女はそこに居てくれるだけで重宝する。このためエルミラは、ラルカを文官として登用するつもりはなかった。
 だが、彼女と接しているうちに、ラルカの価値は美しさよりもその能力にあると気づいた。
 そして、文官としての活き活きとした働きぶりを見るに、転用して正解だったと感じていた。


「ラルカ、あなたがいてくれて、とても助かっているわ」


 心からの感謝を伝えると、ラルカは瞳をパッと輝かせる。


「まあ、エルミラ様! とても光栄ですわ」


 頬を染め、満面の笑みを浮かべるラルカはあまりにも愛らしく、その場にいる誰もがほぅと息を呑む。


「これからも頼りにしているからね」

「はい! よろしくお願いいたします」


 ラルカは嬉しさのあまり、天にも昇る心地だった。