「まぁ! この子達が貴女を攫った張本人なのね」


 腰に手を当てムスッと唇を尖らせるエルミラに、リーダー格の少年と少女の顔がサーッと青褪めていく。ラルカは思わず両手を広げると、子供たちの前に躍り立った。


「違いますわ、エルミラさま。わたくしはただ、この子たちと一緒に楽しく遊んでいただけです。元はと言えば、この子達のためのイベントですもの。当然のことですわ」

「……分かっているわよ。貴女が何を言いたいのか、これから何をしたいのかも。
だけど、本来なら、貴族を攫ったものは死刑に処される――――子供だから、知らなかったからで済まして良い話じゃないの。
この子達は、自分が何をしでかしたのか、きちんと自覚をする必要があるわ」

「そんな……!」


 リーダー格の少年が叫ぶ。

 彼らはただ、悲しかった――――悔しかっただけだ。

 これは自分たちのために開かれたイベントなのに、近づくことすら許されない。
 除け者にされてしまったから。

 だから少しだけ――――ほんの少し、困らせてやろうと思った。

 碌な教育も受けさせてもらえていない彼らには、己の行動がどんな結果に行き着くのか、知るよしもなかったのである。