「――――ですから、姉さまもそろそろ、わたくしで遊ぶのではなく、ご自分としっかり向き合ってみては如何でしょう?」

「え……?」


 メイシュが大きく目を見開く。
 彼女は息をするのも忘れ、ラルカのことを見つめていた。


「好きなのでしょう? 愛らしいドレスが。美しい宝石が。鮮やかな色合のお化粧が。フリルやレース、リボンや刺繍が。
似合う、似合わないだとか、年齢や性格に関係なく、ご自分で好きなものをお召になれば良いではございませんか。
人形で遊ぶより、自分自身と向き合うほうがずっと楽しい――――そちらの方がずっとずっと幸せに生きられますわ。
今からでも遅くはありません。姉さまも、もっときちんと、自分の想いと向き合ってください」


 ラルカはそう言って、メイシュの頬を包み込む。


 ああ――――もうどんな言葉も、行動も、ラルカを縛ることはできないのね。


 艶やかに笑うラルカはあまりにも美しい。
 目を奪われつつ、メイシュは呆然とその場に立ち尽くした。