「お化粧をして、会場に戻って、それから可愛いドレスで目一杯おめかししましょう? 
大丈夫。わたくしが誰にも文句は言わせないわ。だってこれは、貴方たちのために開かれたイベントなんだもの」


 ラルカの言葉に、子供たちは顔を見合わせる。

 彼らの瞳は絶えず揺れ動いていた。ラルカは子供たちを真っ直ぐに見つめ続ける。


「孤児院の人に見つかっても大丈夫。絶対、貴方たちに手出しはさせません。どうかわたくしを信じて」


 お願いだから届いてほしい。
 ラルカは絶えず訴えかけ続ける。


「――――本当なんだろうな? 本当に、俺たちも参加できるんだろうな?」


 どれぐらい経っただろう。リーダー格の少年が、ポツリと尋ねる。


「ええ、もちろん。必ず約束は果たします」


 ラルカが言えば、彼は躊躇いつつも腕の縄を解いてくれた。
 ふぅと小さく息を吐き、強張った身体を軽くほぐす。


「ありがとう。
さぁ、急がなくちゃね! 大丈夫、わたくしに任せて! これでもオシャレは得意なんですの!」


 ラルカはそう言ってドンと胸を叩く。
 満面の笑みを浮かべつつ、ラルカは再び子供たちへと向き直った。