開場時間を迎えると、沢山の人々が開場へとやってきた。
 
 幼い女の子。
 その両親。
 ラルカたちの狙い通り、男の子たちも多数訪れている。
 加えて、年配の方の来場も多い。

 ラルカたちが作成したチラシを手に、皆ウキウキと楽しそうな表情だ。


(すごい、すごい! 予想以上の人出だわ!)


 チャリティーイベントというと、富裕層や、一部の意識が高い人、公益活動に力を入れていることをアピールをしたい商会などにしか興味を持ってもらえないことが多いのだが、今回は来場層が違っている。
 多くの人々にイベントがきちんとアピールができたようで、ラルカはホッと胸を撫で下ろした。


「皆様、本日はご来場いただき、誠にありがとうございます」


 中央に設置された壇上に上り、エルミラとアミルが挨拶をする。
 ドレスアップしたラルカと、騎士装束のブラントも隣に並んだ。


「うわぁ……! お姫様だ! 素敵! 可愛い!」

「本当に居るんだ! 絵本で見たとおりだね!」

「王子様もいる!」

「可愛いドレス! あたしも着たい!」


 風に乗り、子供たちのそんな声が聞こえてきた。
 どの子も興奮したような面持ちで、見ていてとても微笑ましい。

 自分にもあんな頃があったのだろうか――――嬉しそうに笑う女の子たちを見ながら、ラルカは目元を和ませる。


「みんな、今日は楽しんでいってね!」


 エルミラのそんな言葉を合図に、華々しいファンファーレが鳴り響く。広場に拍手が沸き起こった。