「大丈夫ですよ。ラルカの想いがたくさん込められたイベントでしょう?」

「……ええ」


 ブラントにそう言われると、何やら自信が湧いてくる。緊張で凍えた指先が、じんわりと温まっていくようだった。


「あの……ブラントさま。わたくしはこのイベントが終わったら、貴方にお話したいことがあるのです」


 言いながら、ラルカは大きく息を吸う。


「どうか、聞いていただけませんでしょうか?」


 上目遣いで見上げれば、ブラントは穏やかに目を細める。


「もちろん。ラルカの話なら、何時間でも、どんな話でも、お聞きしますよ」


 ブラントの返答に、ラルカは嬉しそうに目を細める。
 二人は互いに寄り添い合いながら、会場前のひと時を共に過ごしたのだった。