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 会場は城にほど近い、大きな広場に設置された。

 飾り付けは明るくファンシーに。堅苦しくて近寄りがたくならないよう、最大限に配慮をした。メイシュの好みを想像し、ラルカの好みと足して二で割ればちょうどいい塩梅になる。そういう感覚が自然に養われたという点において、メイシュに育てられて良かったとラルカは感じた。

 事前設営は二日前からスタートし、主に騎士たちが担当してくれた。当日である今日は最終確認を行うだけ。
 ラルカはブラントと手を繋ぎ、会場をぐるりと見て回った。


「いよいよですね、ラルカ」


 ブラントがそう言って笑う。

「ええ。
ブラントさま、今日までこの日のために尽力いただき、本当にありがとうございました」


 ラルカはブラントを見上げつつ、穏やかに微笑みかける。


 最大限、出来る限りのことはした。
 あとは結果がどう出るか、見守ることしかできない。

 緊張で身を強張らせるラルカの手を、ブラントが強く握り直す。