「明日からは使用人たちに、昼食を準備してもらいますわ。執務室にお持ちしますから一緒に食べましょう? そのぐらいの休憩時間は、アミル殿下に確保していただかなければ。これ以上痩せ細ってはいけませんもの。
それから、今後は着替え等、必要なものがあれば侍従ではなくてわたくしがお持ちしますわ。そうしたら、毎日少しの間でもお会いできるでしょう? ……ダメ、でしょうか?」


 ブラントに迷惑をかけたくない。わがままを言ってはいけない――――これまでは遠慮していたが、二人の気持ちは同じなのだ。ラルカは素直に、自分がしたいこと、してやりたいことを口にする。


「ダメなはずがありません。すごく――――ものすごく嬉しいです」


 ブラントはそう言って、今にも泣きそうな表情で笑う。
 ラルカはブラントの頭をそっと撫でた。


 これまで散々甘やかされた分、ブラントのことも甘やかしてやりたい。彼の望むことをしてやりたいと想う。


(先程、今後のことは未だ答えが出せていないと申しましたけれども)


 『共に居る今』を積み重ねていく内に、今は見通すことのできない未来が出来上がっていくのだろう。

 嬉しそうなブラントを見つめつつ、ラルカは満面の笑みを浮かべるのだった。