「ええ。わたくしは、ブラントさまにお会いしたかった。会えない間、とても寂しく思っておりましたわ」


 もう一度、しっかりとブラントを抱きしめる。互いの体温が数度、上がったかのような心地がした。


「ただ、申し訳ないことに、今後どうしていきたいかについては、まだきちんとした答えが出せていませんの。元が独身主義ですし、やりたいことや考えたいことが山程ございますから。
それでも、今、わたくしは貴方と共に居たいのです」


 ラルカの告白に、ブラントは心を震わせる。


「もちろん、それで構いません。僕が貴女との未来を願っているのは間違いありませんが、まずは、かけがえのない今を積み重ねていきたい。ラルカと共に居られるだけで、僕は幸せなのですから」


 きっと、ラルカなりに必死に考え、出してくれた答えなのだろう。それが分かっているだけに、ブラントは嬉しくてたまらない。


「わたくしも、幸せですわ」


 うっとりと瞳を細めつつ、ラルカは微笑みを浮かべる。