「――――会いたかった」


 耳元でそう囁かれ、ラルカの胸が温かくなる。


(良かった……)


 エルミラの言う通り、会いたいと思っていたのは自分だけじゃなかったのだ――――そう考えながら、ラルカは自分自身の気持ちに気がついた。


「わたくしも、ブラントさまに会いたかったです……」


 言葉にすると、驚くほどにしっくりと来る。


 ラルカは本当はずっと、ブラントに会いたかったのだ。


 ブラントの顔が見たい。
 声が聞きたい。
 こんな風に抱きしめてほしいと、ずっとずっと思っていた。

 結婚とか、今後二人の関係をどうしていくべきかとか、そんなことはどうでも良い。
 ラルカは今、ブラントと共にいたかった。


(きっと、ブラントさまも同じ気持ちだったのね……)


 ブラントは以前、結婚は急がなくても良いと言っていた。あの時は理解ができなかったが、きっと、彼の言葉に嘘偽りはない。


 ブラントはただ、ラルカの側に居たかった。ずっとずっと、側に居られる位置に居たかった。だからこそ、婚約を結んだし、いずれは結婚をと望んでくれている。