広い城内を、ラルカは息を切らして走る。
(早く……早くブラントさまにお会いしたい!)
手紙をありがとうと――――会えなかった日の分だけ『お疲れ様』『おかえり』と伝えてやりたかった。
それから、ラルカも寂しかったと――――ブラントに会いたかったということを。
行き交う文官たちがラルカを見ながら目を瞠る。普段はお淑やかで、慌てること、はしたない事をすることのない彼女のこういった姿は珍しい。
周りからの視線を感じて尚、ラルカは自分を止められなかった。
一刻も早く、ブラントに会いたい――――その一心で、ラルカはアミルの執務室へと急いだ。
「あ、あの……こちら、エルミラ殿下からお預かりした書類なのですが」
肩で息をしながら、ラルカは取次の騎士たちへと声をかける。
騎士たちは常ならぬラルカの様子に不思議そうな表情を浮かべつつ、至極穏やかに微笑んだ。
「ありがとうございます、ラルカ嬢。こちらは私共から殿下にお渡ししましょう」
余程大事な書類なのだろう――――安心するようにと言われ、ラルカは思わず目を瞠る。
(早く……早くブラントさまにお会いしたい!)
手紙をありがとうと――――会えなかった日の分だけ『お疲れ様』『おかえり』と伝えてやりたかった。
それから、ラルカも寂しかったと――――ブラントに会いたかったということを。
行き交う文官たちがラルカを見ながら目を瞠る。普段はお淑やかで、慌てること、はしたない事をすることのない彼女のこういった姿は珍しい。
周りからの視線を感じて尚、ラルカは自分を止められなかった。
一刻も早く、ブラントに会いたい――――その一心で、ラルカはアミルの執務室へと急いだ。
「あ、あの……こちら、エルミラ殿下からお預かりした書類なのですが」
肩で息をしながら、ラルカは取次の騎士たちへと声をかける。
騎士たちは常ならぬラルカの様子に不思議そうな表情を浮かべつつ、至極穏やかに微笑んだ。
「ありがとうございます、ラルカ嬢。こちらは私共から殿下にお渡ししましょう」
余程大事な書類なのだろう――――安心するようにと言われ、ラルカは思わず目を瞠る。