「一人で考え込んで答えを出したらダメよ。禄な結果にならないから。
もっと気楽に。ちゃんとあの男を頼りなさい?」

「だけどエルミラさま、そもそもわたくしはブラントさまに頼りきりで……これ以上頼ったら、愛想を尽かされてしまうのではないでしょうか?」

「馬鹿ねぇ。好きな女に頼られて、すぐにグラつくような男ならこっちから願い下げよ。貴女の相手に相応しくないわ。
大体、ブラントの方はラルカに頼られたいと思っているのではないかしら? 違う?」


 その瞬間、これまでブラントから貰った言葉たちが胸を過る。
 彼はいつだって、ラルカの力になりたいと言ってくれた。頼られることが嬉しいと。ラルカの喜ぶ顔が見たいと言ってくれた。


(エルミラさまの仰る通りだわ)


 ブラントはラルカの力になってくれるだろう。
 きっと、笑って受け止めてくれるに違いない。


「ありがとうございます、エルミラさま。わたくし、ブラントさまと――――自分の気持と、きちんと向き合ってみます。まだ、自分がどうしていきたいかは分かりませんが、少しずつでも、答えが出せるように頑張りたいと思いますわ」

「ええ、そうなさい。良いわねぇ、恋をするのって。私もどうせするなら恋愛結婚が良いなぁ」


 エルミラはそう言って、羨ましそうに瞳を細める。
 頷きつつ、ラルカは満面の笑みを返すのだった。