ブラントの告白に、ラルカは思わず耳を塞ぎたくなった。
 彼の想い人は既に分かっているが、それでも面と向かって聞きたくはない。

 無意識に顔を逸らそうとするラルカの頬を、ブラントが両手で包み込む。


「ブラントさま、わたくしは……」

「聞いてください、ラルカ」


 ブラントは真剣な眼差しでラルカを見つめる。


「僕が結婚を望んでいるのは事実です。けれど、時期は今でなくても良い。
何故ならラルカ――――相手は貴女でなければ意味がないからなんです」

「…………え?」


 言葉の意味がすぐには理解できず、ラルカは呆然と目を見開く。
 ブラントは困ったように笑いながら、ラルカのことを抱き締めた。


「僕が恋い焦がれる人は――――結婚したいと思う女性はラルカだけです。
この三年間、ずっとずっと、貴女だけを想ってきました。
貴女に近づきたくて――――相応しい男になりたくて、僕はアミル殿下の側近を目指したんです」


 少しずつ、少しずつ、ブラントの言葉が胸に染み込んでいく。
 理解が進むにつれ、ラルカの頬は紅く染まり、心臓がバクバクと早くなっていった。