「ブラント――――全く、何のための会だと思っている」


 けれど、そうこうしている内に、背後からそんな声がかけられる。
 振り返れば、そこにはラルカとブラントの主人――――エルミラとアミルが並び立っていた。


「殿下!」


 先程までラルカに言い寄っていた男性陣は、アミルの姿を確認すると、そそくさとその場を去っていく。残ったのはラルカたち四人だけだ。


「何のための会って、それは――――しかしですね……」

「しかしですね、じゃない。
おまえのせいでイベントが失敗したらどうする? ラルカ嬢はエルミラの要。できる限り多くの人間と交流させるべきだろう?」


 呆れたように笑うアミルに、ブラントはウッと口を噤む。


「と、いうわけで。少し話をしようか、ラルカ嬢」


 ブラントからラルカを掠め取り、アミルは意地の悪い笑みを浮かべた。


「殿下⁉ 一体何を……」

「ん? 俺はラルカ嬢と話がしたいと言っている。聞こえなかったのか?」


 どこか飄々としたアミルの態度。ラルカは時折エルミラと目配せをしつつ、頭上で繰り広げられるやり取りを呆然と見守る。下手に口を挟めば、火に油を注いでしまいそうだ。