アミルの言う通り、二人が協働するのは初めてのことだ。式典等に共に参加することはあるが、そもそも、王族がイベントを主催すること自体が珍しい。ラルカがアミルをこんなに間近で見ることだって、実は初めてだったりする。


「ええ。折角規模を拡大したんですもの。絶対に成功させましょうね、お兄さま。
皆様も、どうぞよろしくお願いいたします」


 アミルの背後に控えた従者たちに向かって、エルミラが微笑む。

 この席は、エルミラとアミルのためと言うより寧ろ、二人の従者たちのために設けられたものだ。今後、互いにやり取りする機会も多いだろうから、という配慮である。
 当然この場にはラルカとブラントも居て、互いの主人の後ろに控えていた。


(何だか、とても緊張してしまうわ)


 毎日顔を合わせているのに。
 何なら一緒に食事をしているというのに、普段と別の場所で会うというだけで、ドギマギしてしまう。