ブラントの案が採用されるまでに、それほど時間は要しなかった。

 彼は自分の持った切り札を存分に活かし、各所に根回しをしていった。


 子供たちの剣技指導には、年若く経験の浅い騎士と、ベテラン騎士がペアで付くことで、安全面の確保と人材育成を同時に行う。
 一方、会場の警備等については、若手で経験も豊富な、国の要となる騎士たちを多く配置することになった。

 女性用のドレス程の量はないものの、会場には鎧や騎士装束、展示用の模造刀等を用意をし、大人の男性達にも楽しめるよう配慮をする。

 騎士や文官達を巻き込んでの大仕事だ。


 ここまでするとなれば、当初の予定よりも随分大掛かりなイベントとなる。
 このため、今回のチャリティーイベントは、エルミラとアミルの共同事業ということになった。


「こうして共に公務を企画するのは初めてだな、エルミラ」


 エルミラの執務室でアミルが微笑む。
 テーブルには侍女たちが淹れた茶と菓子が並べられ、和やかなムードが流れている。