ブラントの提案は、ドレスの無料体験ほど簡単にはいかないらしい。自分自身の考えの浅さに、ラルカはガッカリしてしまう。


「けれど、安心してください。この件についても、僕からアミル殿下に打診をしてみます」

「本当ですか?」

「ええ。僕だって、ラルカが大切に思っているこのイベントを成功させたい――――子供たちに夢や希望を与えたいと思っていますから。
それに、こういった提案をする以上、僕はこちら側の責任者の一人になるでしょう。もしかしたら、ラルカと一緒に仕事ができるかもしれませんからね」


 ブラントはそう言って穏やかに微笑む。


「わぁ……! そうですわね! そうなったら、わたくしとても嬉しいですわ!」

「僕もです。是非、一緒に実現させましょう」

「はい、ブラントさま!」


 満面の笑みを浮かべるラルカを見つめつつ、ブラントは幸せそうに瞳を細める。
 食事を終えた後も、二人の話題は尽きることなく、深夜近くまで話に花を咲かせるのだった。