「それを言うならわたくしの方ですわ。
実はわたくし、元々あまりオシャレには興味がないんです。最低限身だしなみを整えたらそれで良いと思っていて――――もちろん、これは姉の反動が大きいのですけどね。
だけど、こちらの髪飾りは本当に気に入りまして! 是非、身につけて行きたいなぁと思ったのです」


 見ているだけで気分が上がる。
 付けていると、なんだか自信が湧いてくる。

 髪飾り一つで、こんなにも気持ちが上向くことがある――――ラルカはそう感じたのだった。


「きっと、ブラントさまが贈ってくださったものだから、こんなにも特別に感じるのだと思います。本当に、ありがとうございます」

「――――だとしたら、本当に光栄です。こちらこそ、ありがとう、ラルカ。
さあ、そろそろ朝食にしましょうか」


 それを合図に、二人の手がごくごく自然に繋がれる。


「はい! ブラントさま」


 どちらともなくニコリと微笑みあった。