「お嬢さんを俺にください!」


「あ!こんにちは」



「あ…どーも…」



学校帰りの駅で
偶然あの人に会った


バーでクッキーくれた人



「え?制服?
高校生なんですね
大人っぽいから大学生とかかな…って
ギターいつからやってるんですか?」



「子供の頃、5歳ぐらいから…
父親がやってて…」



「そーなんですね
いずれデビューするの夢?」



「いや…そんな…」



駅のホームで電車を待ちながら
少し話した



「メジャーになるの応援したいけど
デビューしてほしくない気持ちもあります
ファンとしては複雑」



わからん

女心



「応援してもらっても
デビューとか考えてないんで…」



「でも、好きな事を仕事にするのって
いいですよ」



実際そうしてる人に言われると
説得力ある



「クッキー、スゲー美味かった」



「そう言われると嬉しい

また聴きに行きますね
もうすぐバレンタインだから
迷惑じゃなければチョコ持って行くので
受け取ってください」



「あぁ…ありがとうございます」



今のこの人の気持ち

マスターから
俺のファンがいるって聞いた時の気持ちと
同じかな?


ちょっと気持ちわかる

合ってるかわからないけど



「この前、一緒にいた人って…彼女…」



この前?

レーニャのことか



「いや、そんなんじゃないです
いとこみたいな…」



「いとこ?
あの…私の勘違いだったらスミマセン
この人、じゃないですよね?
今、ニュースになってる」



バッグからスマホを出して
何かを検索して俺に見せてきた


俺の方に翳されたスマホをのぞき込んだ



スマホの画面はネットニュースだった

『社長令嬢行方不明から1ヶ月
事件の可能性も視野』



画面をスクロールしたら
見覚えのある姿の写真が出てきた



あの日の、ドレスを着たレーニャ



え…



宝城 優里愛 (17)
ほうじょう ゆりあ



ぜんぜん知らない名前

17歳って、俺と同じ年じゃん


高校生?



誰?これ

レーニャは誰なの?