「お嬢さんを俺にください!」


アパートに向かってふたりで歩く


さっきまで離れてた影が
くっついた



「寒いね…」



ありがとうってなかなか言えない



「ユーヤいるから寒くない」



「あ…そう…」



ニヤけてる場合じゃない

言わないままアパートに着いてしまう



「今日、ありがと、ユーヤ…」



え、先に言われた



「え?なにが?」



「ユーヤのギター聴かせてくれて…」



言わなきゃいけないの俺だろ



「や、こちらこそ、ありがと
あの、や、なんか、レーニャ来て
めっちゃ照れたって言うか…
ごめん、今もそーだけど
スゲー緊張した」



「そーなの?
そんなふうには見えなかったし
すごくよかったよ」



だろ!

今までで1番よかったと俺も思う


それは言わないけど



「レーニャ、あんな隅で聴こえた?」



「うん
あそこで私は充分だよ

さっきの人?クッキーくれた人」



「あー、うん…」



「私、音楽のことはよくわからないけど
あの人、ユーヤのギター好きなんだね

すごいね、ファンがいるって
大切にしなきゃね

頑張ってね、ユーヤ
私も応援してるよ」



「うん、ありがと」



レーニャ
また聴きに来てくれるかな?