数歩進んで
レーニャが着いてきてないのに気付いた
「レーニャ?どーした?帰ろ」
少し戻ってレーニャの手を繋ごうとしたら
手を引っ込められた
レーニャ
まだこの前のこと怒ってんのかな?
「ユーヤ、私ひとりで帰れるよ
さっきの人、きっとユーヤと話したいと思う
ゆっくり話して来なよ」
「いいよ
遅いから帰ろ
腹減ったし…」
レーニャの言葉を無視して
アパートの方に歩いた
話したいとか意味わかんね
話は終わったし
こんな時間にゆっくり話してるヤツいるかよ
俺はレーニャのことが心配だっていうのに
ひとりで先に帰らせられるかよ!
レーニャだって
ホント俺の気持ちわかってねーな!
俺の後ろを黙ってついてくるレーニャの影が
やっと俺の隣に並んだ
今日、聴きに来てくれてありがとう
レーニャにそう言おうと思ってたのに
言えない
俺が話したかったのは
レーニャなのに…
歩きながら
演奏の感想とか話して
また行ってもいい?とか
レーニャが言って
寒いね
帰ったら何食べる?とか
私が先にお風呂入るね!
先に寝るなよ!
とか言い合いになって
帰りは
そんな妄想してたのに
なにコレ?
この距離感
このままアパートに着いちゃうカンジ?
「レーニャ…」
立ち止まって振り向いたら
俺についてくるレーニャの足も止まった
レーニャに向けて手を差し出した
なんでさっき繋がなかったの?
レーニャのために
今日ギター弾いたんだよ
レーニャが聴きたいって言ってくれたから
レーニャの白い小さい手が
俺の差し出した手に伸びた
いつもより緊張してる?
なんで?
あの時、冷たかったレーニャの手
あの時は、何も考えないで掴んでた
今は
今日は
いろいろ考えてしまう
いろんな感情が混ざる
レーニャの手を黙って掴んだ
レーニャの手は温かかった
なんだか酷く安心した



